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住宅金融公庫は独立行政法人に

数年前までなら、住宅ローンを利用するときには、「公庫融資を中心に資金計画を組み、不足分を民間で補う」という考え方でまずは間違いがありませんでした。バブル時期のように金利の高い時期には、民間が低金利で固定期間の長いローンを扱うことは難しかったこともあって、政府の資金を使って長期固定型で比較的金利の低いローンを扱える住宅金融公庫の独壇場の観があったのです。しかしその結果、住宅金融公庫の不良債権は数千億円に達し、それをカバーするためには大量の税金を投入しなければならない事態に陥りました。そのため、住宅金融公庫は小泉純一郎内閣発足時の特殊法人改革の槍玉に真っ先に挙げられることになってしまったのです。

その結果、2005年には法律が改正されて、住宅金融公庫は2007年3月31日に廃止、2007年4月から「独立行政法人住宅金融支援機構」として新たなスタートを切りました。従来から、公庫による低利融資は官業による民業の圧迫という批判の声も少なくありませんでした。公庫融資の原則廃止は財政健全化に資すると同時に、そうした民業圧迫の弊害を取り除き、民間住宅ローン市場の活性化につなげる狙いだったわけです。この特殊法人から独立行政法人への移行に当だっての大きな柱が、国民に直接融資することは原則やめて、民間金融機関の住宅ローン業務の側面支援に特化していくということです。地震や台風などの被害にあった人たちへの低利の融資業務は政策上不可欠ということで継続されますが、通常の融資業務は行わないということです。

ちなみに、2005年に発覚した耐震構造偽装事件の被害者の支援策として、建替え時のローンの増額分については住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)が全額融資を行っています。この住宅金融公庫廃止、住宅金融支援機構の発足に向けて、住宅金融公庫では数年前から段階的に融資枠を縮小し、直接融資から融資支援業務に軸足を移してきました。それがいよいよ2007年4月の独立行政法人への移行に結びついたわけです。こうした動きに対応して、従来は公庫融資に向かっていた住宅ローン利用者をいかに多く取り込むかという、民間金融機関同士の競争が激化しています。その前から金融自由化が進行していたこともあって、ここ数年の住宅ローン商品の開発競争には目を見張るものがあります。

いかに金利を低くするかということだけではなく、さまざまな面で使い勝手の良さを追求する商品、より安心度を高める付加価値のついた商品など、各社が開発競争にしのぎを削っています。民間ではこれまでは大手都市銀行が中心になってきましたが、最近の新商品開発競争では預金機能を持だないノンバンクも無視できない存在になっていますし、規模的にはメガバンクに太刀打ちできない地方銀行、信用金庫・信用組合、労働金庫、JAバンクなどもユニークな商品の開発で対抗しています。また、営業店舗を持だないネット銀行はその特性を活かした低利で、使い勝手の良い商品を打ち出すなど、新旧、大小入り乱れての商品開発競争、顧客獲得競争が展開されています。