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ローンの選択肢が広がる銀行代理店がスタート

こうした動きのなかでもうひとつ注目されるのが、銀行の代理店業務の自由化。従来から銀行が代理店を設置して、その主要業務を委託することは可能でしたが、何かと制約が多かったのです。当初は複数店舗が認められず、設置場所に許可が必要な上、銀行業務の一部しか扱えないなどの制約があったのです。時代とともにこうした規制が緩和されてきたのですが、それでも銀行の100%出資の子会社にしか認められないなどの制約が残っていたため、実際には銀行代理店は全国でも100店舗ほどしか存在していないのが現実でした。それが、2005年11月に銀行法が改正され、代理店業務が大幅に緩和されました。2006年4月施行で、これによって銀行とは資本関係のない一般企業が銀行の代理店業務を行えるようになり、しかも、業務内容も預金の出し入れから預金口座の開設、送金、個人ローンまで扱うことができるようになりました。

法人向けローンは財務データなどをもとに機械的に審査する「定型ローン」しか認められていませんが、個人向けの商品・サービスであれば基本的に現在の銀行が扱う商品・サービスのほぽすべてを扱うことができるようになったわけです。銀行代理店が増えそうな拠点としては、スーパー・百貨店、自動車販売業などの小売業、旅行代理店、住宅展示場などのサービス業などが挙げられます。スーパーや百貨店などではすでにATMが設置されるなど、銀行業務の一部のサービス提供を受けられるようになっていますが、今後は店舗内にサービスカウンターが設置され、専任の担当者を置いて、銀行の商品・サービスに関する相談から申込みまで可能になってきます。

順調に代理店が増えてくれば、買物のついでにスーパーや百貨店で住宅ローンの相談や申込み・契約の手続きもできるようになります。もちろん、住宅展示場を見学、気に入ったその場でローンの相談、申込みまでできてしまうようになるかもしれません。ことに、メガバンクは大都市部中心の店舗展開ですから、地方の中小都市に住んでいる人はなかなか利用できませんでした。利用店舗はどうしても地元の地方銀行や信用金庫などに限られてしまいます。住宅ローンの世界が、かつての住宅金融公庫中心の時代であれば、そうした中小金融機関でもほとんどが公庫の代理業務を行っていたので問題はなかったのですが、最近のように民間金融機関中心の時代になったとき、地方都市では選択肢が限られて、大都市部に住む人と格差が生じているのが現実です。

それが地元にあるスーパーや百貨店などで地元に支店のない銀行のローンも申し込めるようになれば、飛躍的にローンの選択肢が広がります。全国どこにいても、あらゆる銀行のローンを調べたり、申し込んだりできる時代がやってくるかもしれないのですから、特に地方に住んでいる人にとっては朗報といえるでしょう。欧米では、すでにこうした制度は当たり前になっています。大規模なスーパーや百貨店には必ずといっていいほど銀行代理店がカウンターを設け、銀行の商品・サービスを提供しています。人材育成などに多少の時間はかかるでしょうが、さほど遠くない時期にわが国でもそうしたカウンターが誕生することになるのではないでしょうか。これまでに、野村澄券が野村信託銀行と提携して預金・送金などの代理店業務を開始したほか、セブン銀行が三井住友銀行と提携して、イトーヨーカ堂内のセブン銀行で三井住友銀行の住宅ローンをはじめとする商品の取次ぎなどを始めるといった動きが出ています。