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郵便局でも住宅ローンが申し込める!?

2007年10月、郵政民営化か実施され、かつての郵政公社は持株会社である日本郵政株式会社のもと、郵便事業を担当する日本郵便(郵便事業株式会社)、銀行業務を担うゆうちょ銀行(株式会社ゆうちょ銀行)、保険事業を担当するかんぽ生命(株式会社かんぽ生命保険)、郵便局のネットワークを運営する郵便局(郵便局株式会社)が設立されました。さらに2012年には郵便事業と郵便局が日本郵便株式会社に一本化されました。このうち、ゆうちょ銀行が従来の郵便貯金業務を引き継ぎましたが、これまでの貯金業務だけではなく、融資機能を持たないことには、本来の意味での銀行ということはできません。

自民党政権下では、ゆうちょ銀行とかんぽ生命は2017年までに完全に民営化されることになっていましたが、民主党の郵政改革法ではこれを撤回、日本郵政が株式の3分の1超を持つ子会社になりました。それが再びの政権交代によってどうなるのか注目されています。その融資業務のなかでも、最も注目されているのが、個人向けのローンです。もともと郵便局の顧客は基本的に個人顧客が中心ですから、個人向け業務から入るのが現実的であるのはいうまでもありません。しかし、融資業務は商品開発もさることながら、相談業務に始まり、信用力調査から債権管理まで高度なノウハウを必要とします。専門の人材の育成が不可欠であり、一朝一タに取り組めるものではありません。

そこで注目されたのが、住宅金融支援機構のフラッフラット35なら、商品の概要は住宅金融支援機構が決定しているため、金融機関としてはフラット35の枠組みにしたがって、ある程度定型的に事務処理を行うことができます。経験もノウハウも乏しいゆうちよ銀行でも、ある程度の時間をかければ、取扱いが可能なのではないかという判断だったようです。しかし、株式会社になったとはいえ、ゆうちよ銀行の株式は、政府出資の日本郵政株式会社が3分の1超を持つことになります。実質的にはまだ”官業”であることに変わりはなく、そうした企業が、「これまで純粋な民間企業が苦労して市場に定着させてきた分野に参入するのはけしからん、官業の民業圧迫だ」という声が強まりました。

民間との競合をできるだけ避け、民間金融機関が融資しにくい分野に特化する必要があるわけですが、民間が融資しにくい分野となれば、いっそう高度な知識・経験を有する人材が必要になってきます。ほとんどそうした人材がいないゆうちよ銀行にとっては、ますます困難になってきます。その課題を克服するためには、特定の分野において豊富な経験を持つ民間企業との協力関係が不可欠になります。こうした曲折を経て、まず2008年5月から地方銀行のスルガ銀行と提携、同行の女性や個人事業主などに向けたローンの取扱いをスタートさせました。当面三大都市圏の直営店舗のみですが、段階的に地方にも拡大していくものとみられます。いうまでもなく、郵便局のネットワークは全国に広がっています。

メガバンクの支店のない地方都市でも必ず存在しますし、隣町まで出ないと信用金庫もないという地域であっても、郵便局はあります。今後の郵政改革の動向次第で、郵便局の整理統合があったとしても、最終的には最低でも市町村に1か所の郵便局は残していく方針といわれています。ですから、これまでは住宅ローンの相談や利用に隣町などまで出かけなければならなかった人でも、近くの郵便局で相談したり、契約できたりするようになる可能性があります。民間金融機関との調整や、ローン業務に精通した人材の確保など、まだ実施には多少の時間はかかるかもしれませんが、郵便局で住宅ローンを申し込めるようになる日がやってくるでしょう。