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選択肢の広がりでローンの勉強が不可欠に

これは、消費者からみればたいへんありかたいことです。以前の民間ローンといえば、金利から商品の特性まで、原則的にどの銀行で借りてもほとんど差がありませんでした。当時の大蔵省(現在の金融庁)の護送船団方式のもと、ほとんど自由がなく、横並びの商品展開にならざるを得なかったのです。それが金融自由化に加えて大きなシェアを握っていた住宅金融公庫の直接融資廃止によって様変わりしました。ジックリと時間をかけてローンの勉強をすれば、より自分に合った、少しでもトクのできるローンをみつけることができる可能性が限りなく広がってきたのです。

ただ、この選択肢の広がりは、住宅ローンの選択を難しくしている面があるのも事実です。金利タイプの多様化、各種の金利引下げ制度の充実などによって、どの銀行のどの商品が有利なのかは、人によって異なるのが普通です。ある人はA銀行の金利引下げが使えるので、A銀行のBというローンを使うのが得策であっても、別の人はその金利引下げの条件に合わないため、C銀行のDというローンのほうがいい、といった違いが出てきます。また、手持ち資金がたくさんある人なら、それを銀行に預けることによってローン金利を大幅に引き下げることができる銀行のローンのほうが有利になる場合もあります。

さらに、あまり返済に余裕がないために30年、35年といった長期のローンを利用せざるを得ない人にとっては、全期間固定金利型が安心だが、借入額が少なかったり、返済にゆとりがあって返済期間を10年程度と短くできる人は、多少のリスクを負っても超低金利のローンを利用したほうがトクをする可能性が高いなどなど、それぞれの条件に応じてどのローンを選べばいいのかが違ってきます。さらに、最近では金利だけにとどまらず、各種の費用や使い勝手面での差も大きくなっています。通常、民間ローンでは保証料の負担が欠かせませんが、一部の金融機関では保証料無料というところもあります。35年返済だと、1000万円当たり20万円ほどの保証料ですから、3000万円のローンだと約60万円の保証料になります。

それが無料になればけっこう大きな差になってきます。また、借入後の繰上返済に関しても、数千円から数万円の手数料を取るのが一般的ですが、手数料無料とする金融機関も徐々に増えています。借入後はガンバってどんどん繰上返済をしていこうと考えている人にとっては、この手数料無料のメリットも小さくありません。また、各種の保険付きのローンも登場しています。ガンなどと診断された場合には返済が免除される保険、病気やケガ、あるいはリストラや倒産などで失業したときに一定期間返済を猶予してくれる保険もあります。その内容や保険料の負担の有無などにも違いがみられます。さまざまな面で多様化が進んでいるのです。マイホームの物件選びでは、何件ものモデルルームやモデルハウスをみて、物件の善し悪し、自分たちへの向き不向きを十分に検討してから最終的な決断を行います。

従来なら、その購入物件が決まれば、おのずとどんなローンを組めばいいのかが決まってきました。物件さえ確定できれば、ローンに関して悩む必要はなかったのです。しかし最近では、ローンにおいても、自分たちにはどのローンがいいのか、シッカリとリサーチして比較検討の上で決定しなければならなくなっています。選択肢が広がるということは、それだけ消費者に求められる知識レベルも上がってくるということです。いろいろな物件をみて、マイホーム選びを楽しむのと同様に、いろいろな住宅ローンを探して、少しでもトクできる、あるいは少しでも安心できるローンをみつけることを楽しむぐらいのゆとりが必要なのかもしれません。