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民間金融機関は金利引下げ競争

この引下げ効果はどれほどあるのでしょうか。変動金利型の例でみると、3000万円の借入額で35年元利均等返済を利用する場合、2・475%なら毎月返済額は10万6846円ですが、引下げ後の0・875%に下がると毎月返済額は8万2949円にダウンします。毎月2万4000円近くも軽減されるのです。年間にすると30万円近くも負担が軽くなるわけです。また、固定期間選択型10年もので、本来3・60%の金利が1・40%に引き下げられているケースでは、3000万円を3・60%、35年返済で利用した場合の毎月返済額は12万5731円ですが、引下げ金利では9万392円になります。毎月3万5339円の軽減で、これが10年間続くわけですから、420万円以上もトクする計算です。これにひかれてやってくるお客が少なくないことは、容易に想像できます。

もちろん、この金利引下げの内容は金利タイプだけではなく、金融機関によっても異なります。固定期間の長いタイプの引下げに力を入れるところもあれば、変動金利型や固定期間の短いタイプの金利引下げを前面に押し出すところなどさまざまです。金利引下げ制度といってもその内容は金融機関によって千差万別なので、自分たちが利用できそうな金融機関をひと通りチェックして、そのなかから自分たちが利用したいと考えているローンの引下げ内容がどうなっているのかを比較検討して判断するようにしなければなりません。しかも、注意が必要なのは、この金利引下げ、完済まで続くとは限らないという点です。

多くの場合、期間が限定されています。以前は、固定期間選択型の場合、金利引下げは当初の固定金利期間に限定され、その後は店頭表示金利に戻るのが一般的でした。しかし、それでは固定期間終了後には返済額が大幅に増えて、利用者の家計への影響が大きくなります。このため、固定期間終了後も一定の金利引下げが続くようにしているところがほとんどです。その金利引下げには、ふたつのタイプがあります。ひとつは、当初一定期間の引下げ幅を大きくして、その後は引下げ幅が小さくなるタイプ。いまひとつが、完済までの全期間を通して引下げ幅が変わらないタイプです。当初の引下げが大きければ、借入時の何かと物入りな時期の負担が軽減されるメリットが大きいのですが、その後引下げ幅が小さくなると、その時点で返済額が大幅に増加する可能性があります。

これは、利用者にとってたいへんリスクが大きいので、最近の傾向としては、当初の引下げ幅が大きい夕イプは廃止して、完済まで同じ金利引下げが続くタイプが主流になりつつあります。これは、利用者のリスクが小さくなるという意味でいいことだと思います。当初の引下げ幅が大きいタイプにはどんなリスクがあるのか。ひとつの例をみてみましょう。たとえば、固定期間選択型5年ものの店頭表示の金利は3・25%ですが、これを当初5年間は2・2%引き下げて1・05%としている金融機関があります。6年目からも金利引下げが続くのですが、引下げ幅は1・4%になります。

店頭表示の3・25%で3000万円を、35年元利均等返済・ボーナス返済なしで利用すると毎月の返済額は11万9681円です。これが、金利1・05%になると8万5386円に減少します。実に3万5000円近く負担が軽減されるのですから、大きなメリットではあるでしょう。しかし、5年が経過するとどうなるのでしょうか。仮に、現在とまったく同じ金利が続いていたとしても、3・25%の店頭表示金利からの引下げ幅は1・4%になりますから、適用金利は1・85%ということです。その場合の返済額は9万6768円。金利が上かっていなかったとしても、返済額は13・3%増えてしまう計算です。その上、金利が上がったらどうなるのでしょうか。

5年の間に金利が1%上がっていると、適用金利は2・85%で、返済額は10万9008円に増え、増額率は27・7%に、2%上がっていると12万3571円で、増額率は44・7%、さらに3%上がっていると13万9092円で、増額率は62・9%にも達します。若いうちなら5年あればある程度は収入も増えるでしょうが、5割も6割も増えるという人はそうそういないでしょう。ローン破綻に陥ってしまう可能性が高いのではないでしょうか。ただ、返済期間を短くすれば、この増額率はかなり抑えることができます。ですから、固定期間選択型10年ものを、返済期間20年で利用するといったケースであれば、この当初の金利引下げ幅が大きいタイプを利用してもいいでしょう。反対に、30年、35年といった長い返済期間の人は、このタイプは利用しないほうが無難です。